《N.C.物語》1.誕生秘話

1.誕生秘話

NCは、椅子張地リバコNCシリーズとして今から36年前、昭和61年(1986年)に誕生しました。

発売開始から36年目を迎え、業界でもロングランの商品の一つになっております。

NCの名前の由来は「ニューカラー」の略です。今から36年前の発売当時の業界において、多くの椅子用張地の色は青・赤・グレー・黒・オレンジ・茶色等、一つの椅子用張地において6色、多くて10色ほどしか色がありませんでした。

当時、椅子張り担当であったある営業マンは考えました。

「もっといろいろな椅子を楽しんで使ってもらう、そのためには椅子の表面を覆う椅子張はたくさんの色があった方がいい。また色の多さだけではなくデザイン性や品質も大事、これからさらにインテリアを楽しんでもらう時代が来る。そのためには今までにない、新しい椅子張りシリーズが絶対に必要だ」

そう考えた営業マンは、まずお客様を回り、張地の色や意匠性についての要望を聞き、また椅子を作る職人さんから張地の強度・伸び率などの使用上での問題点の指摘をもらいました。

耐久性はもちろん、長期にわたって飽きの来ない意匠性にしてほしい、色の表現については単純な青・赤という単一色ではなく、経糸・緯糸の違う色の組合わせや色の深みを出してほしいとの要望が多数を占めました。

こうした要望を実現する為、意匠性についてはあまり特徴を持たせず、かといって単純な経糸・緯糸1本ずつの組合せの「平織」ではなく、経糸・緯糸2本ずつを組合せた「ななこ織」にし、糸での染色をする方法を取り、色の深み織物全体の質感を上げ、高級感を持たせるために織物の元になる糸の素材はアクリルとウールを混ぜ比率をアクリル70%・ウール30%にした特注の糸を作り、基本設計ができるまでに1年以上かかりました。

昭和60年(1985年)、発売の1年前にNCの試作品が出来上がり、要望をお聞きした顧客からも合格点をもらい、いよいよ発売へといく予定でした。

が、ここで大きな問題が発生しました。(続きは次回)